知り合いには話せない。でも、誰かには読んでほしい。匿名で書ける場所を探していても、返信がほしいのかまでは決まっていないことがあります。候補を比べるときは、誰に読まれるかと、どんな反応が届くかから見ていきます。
一言だけ残したいのか、長い事情を聞いてほしいのかによって、使いやすい場所は変わります。掲示板、非公開のメモ、限られた相手との会話。それぞれの違いを見たあとで、投稿前に確かめる設定を整理します。
「吐き出したい」の先に、返事はほしいか。
仕事で言い返せなかった場面を書くとして、「それは嫌だったね」と返してほしいのか、次にどう伝えるか一緒に考えてほしいのか。それとも、今日は説明を続けず、一言だけ置いて終えたいのか。返事を想像すると、今ほしいやりとりが少し見えてきます。
共感を求めるなら、その場の返信ルールを読みます。例えば「ぐちったー」は、共感以外の返信を認めない方針を利用案内に掲げています。意見交換をする掲示板とは、そこで交わされる言葉の前提が違います。返信がなくなる仕組みではないので、何も返ってきてほしくないときは別の条件も必要です。出典:Tters「ぐちったー」の利用案内
返事を読みたくないなら、返信を閉じられる場所や非公開のメモが候補です。具体的な対応を尋ねたいなら、扱う相談と担当者が分かる窓口を探します。公開掲示板では、書いた内容に返事が付くか、誰が応じるかは投稿するまで分かりません。
匿名掲示板、非公開メモ、相談の場を比べる。
| 置き場所 | こんなときに | 先に見るところ |
|---|---|---|
| 紙・非公開メモ | 誰にも読まれず、詳しい経緯まで書いておきたい | 保管場所、端末のロック、共有設定、同期先 |
| 公開の匿名掲示板 | 知り合い以外の人に読んでもらいたい | 返信ルール、検索への掲載、編集・削除の方法 |
| 限られた相手との場 | 事情を知る人に続きを話したい | 参加者、招待の仕組み、投稿を見られる範囲 |
| 相談の窓口 | 具体的な問題の対応や手続きを尋ねたい | 扱う相談、担当者、受付時間、費用、秘密の扱い |
長文なら、入力できる文字数に加え、途中で保存できるかを見ます。一度に書き切れなかったとき、どこから再開できるか。後日続きを足したとき、前の文章を見つけられるか。一言の愚痴を流す場所と、経緯を残していく場所では、使いたい機能も違います。
非公開で使う場合は、設定がどこまで及ぶかも確かめます。はてなブログの公式ヘルプでは、公開範囲は記事ごとではなくブログ全体に反映され、変更すると過去の記事も対象になると説明されています。自分だけの日記と人に見せる文章を同じ場所に置くなら、一つの設定変更で両方が公開されないかを先に見ておきます。出典:はてなブログ「ブログの公開範囲を設定する」
詳しい原稿は手元に保存し、掲示板には一段落だけ出す使い方もあります。原稿の保存先と公開先を分けておけば、投稿するときに削った経緯も、自分の記録には残せます。
登録不要なら、誰にも分からない?
登録不要と書かれていても、それだけで投稿の見え方までは分かりません。名前やIDが付くのか、同じ人の過去の投稿をたどれるのかは、投稿画面やヘルプで確認します。運営者が取得する情報は、プライバシーポリシーを読みます。アカウントを作る手続きがないことと、情報が記録されないことは別の話です。
本文の細部から、書いた人に気付かれることもあります。ほかのSNSにも書いた珍しい出来事に、勤務先の規模や当日の予定が重なると、身近な人には心当たりが生まれるかもしれません。警察庁も、複数のサイトにある情報を組み合わせて個人が特定される場合を挙げています。出典:警察庁「被害防止対策」
見直すときは、「事情を知っている人が読んだら、どの部分で気付くか」と考えてみます。場所や人数を削っても、嫌だった場面を伝えられるか。細部を消すと何の話か分からなくなる場合は、人を説明する情報を減らし、その場で言われたことや自分がしたことを中心に書き直します。具体性を残す書き換え例も参考になります。
初めて使う場所で、投稿前に確かめること。
候補が一つ決まったら、まず公開範囲と返信の設定を見ます。希望に合うことを確かめてから、編集・保存・問い合わせの条件まで読みます。
- 誰が読めるか。ログインしていない人も読めるのか。会員限定なのか。検索結果に載る可能性はあるのか。
- どんな反応が届くか。コメントや個別連絡、通知はあるか。それぞれを止める設定があるか。
- 後で直せるか。編集・削除の条件と、自分の投稿だと確認する方法を読む。登録不要なら、端末を替えた場合の扱いも見る。
- どこまで残るか。保存期間、履歴の範囲、データを取り出す方法を確認する。
- 困ったときに連絡できるか。通報・問い合わせ先と、禁止される投稿の説明を探す。
設定が分かったら、最近の投稿と返信をいくつか読みます。短文が中心なのか、長い事情にも返事が付くのか。助言を望まない投稿に、どんな言葉が返っているのか。自分がそこへ書いたときのやりとりを、利用案内だけでなく実際の会話からも想像してみてください。
写真を添えるなら、本文の見直しとは別に、写り込んだ名前や背景も確認します。削除機能があっても、他の人が保存した画像やコピーまで回収できるとは限りません。個人情報保護委員会は、写真への写り込みや位置情報に加え、一度公開した画像等を完全に削除する難しさも説明しています。出典:個人情報保護委員会「個人情報を考える週間」写真・動画の投稿
書く場所が決まったら、公開用の一段落を作る。
例えば、手元の原稿には部署名や日付を残していても、公開する文章では「話している途中で笑われて、その先を言えなかった」と、一場面だけを書く方法があります。これは架空の例ですが、誰の話かを説明する情報と、読んでほしい場面を見分ける目安になります。
その一段落に返事が来たとしたら、続きを話したいか。それとも、読まれたところで終えたいか。下書きができると、場所を探し始めたときより答えやすくなることもあります。そこで希望が変わったら、選んだ場所の返信設定をもう一度見ます。
公開先がまだ決まらなければ、原稿は手元に保存しておきます。書き残したいことがはっきりしてから、公開先をあらためて比べられます。